日産自動車栃木工場に隣接しているゲストホール
一度自動車工場を見学したいと思っていたのですが、今回日産自動車の工場見学に応募したところ当選し、その機会を得ることができました。日産の場合、応募時に見たい工場を指定することが可能です。組立工場が見たかったのと、愛車であるフェアレディZ(Z33/350Z)を生産しているのが栃木工場だったので、栃木工場を選びました。
正面玄関を通ると案内されるのがゲストホール。ここで工場見学まで待ちます。
尚、工場内は全て撮影禁止。写真は工場外にあるゲストホールのみ。工場見学の内容に関しては特にNDA(秘密保持契約)等にサインをさせられたり、他人に伝えることは禁止されてませんでしたので、私が取ったメモを公開したいと思います。私のメモと私及び妻MARYの記憶から起こしたものなので、精度は保障できません。
ゲストホール
ゲストホールに展示してあるR390 GT1
ゲストホールは栃木工場で生産されているフェアレディZやスカイラインが展示されています。レースで活躍したR390 GT1もありました。

ゲストホールに展示されているパネル
また、ゲストホールには栃木工場の紹介や自動車が生産される仕組が詳細に説明されたパネルが展示されていました。
受付時間になり、工場案内当選のメールを印字した紙を見せて受付終了。その後はゲストホール内にある大ホールに入り、工場案内の事前説明を聞きます。
前半は約15分程度の工場案内を、担当の方がパワーポイントの資料を使ってがプレゼンします。工場の説明や、何を生産しているかの概要の説明がありました。
その後、約10分のビデオ。このビデオは2種類在り、挙手による多数決でどちらのビデオを上映するか決めます。一つは日産生産方式。日産独自の生産方式の説明です。もう一つは日産インフォメーションギャラリー。日産自動車の活動や自動車作りの説明です。私は個人的に日産生産方式の方が見たかったのですが、多数決で日産インフォメーションギャラリーになりました。内容は我々エンジニアから見ると一般的な内容でした。技術に疎い方であれば楽しめたかもしれません。
そしていよいよバスに乗って工場見学の始まりです。

ゲストホールの玄関から撮影。このNISSANロゴの上に白く見えるのが高速周回路。バンク角は45度だそうです。
時々数年先に発売予定の開発試作車の屋根だけが見えることもあるとか。
高速周回路は内側からも高い塀や木々に囲まれ、見えないようになっていました。
下のトンネルをくぐると、工場の敷地内に入ることができます。
見学は15〜20名1グループで見学します。今回は組立工場を見学しました。見学時間はおよそ40分。工場内は騒音が凄いため、工場が用意してくれたレシーバーを使ってイヤホンで説明を聞きます。そのため、質疑応答があまり出来ないのが残念でした。
第一印象は「とにかく大きい」でした。ディズニーランドが4つ入る敷地ですから大きいはずです。見学する工場建屋までの移動もバスでしたが、従業員の皆さんの工場内の移動も車や自転車を使っていました。
ちなみに従業員の方の駐車場らしき場所が所々あったのですが、やはり全て日産車でした。フェアレディZ(Z32/Z33)も結構ありました。
工場内は撮影禁止なので写真は一切ありません。しかし、工場見学の内容に関しては特にNDA(秘密保持契約)等にサインをさせられたり、他人に伝えることは禁止されてませんでした。そのため、工場見学で聞いた内容は「公開しても問題無い情報」と認識していますので、私が取ったメモを公開したいと思います。
私のメモ、そして私及び妻MARYの記憶に基づく内容ですので、精度は保障できません。
■工場及び施設
南北長さ 4Km
東西長さ 1Km
面積 213万平方メートル
ディズニーランドが4つ入る大きさ
工場敷地内部には大通りがあってバスで移動、まるで小さな町の様
生産品目
車両
プレジデント・シーマ・インフィニティQ45(海外向け)
フーガ・インフィニティM45・M35(海外向け)
スカイライン・インフィニティG35(海外向け)
フェアレディZ・350Z(海外向け)
ステージア
パワートレイン
鋳造部品、アクスルユニット、ファイナルドライブユニット
3つの部門構成
部品製造
鋳造工場 アクスル(車軸)等の生産
組立工場
車両組立工場が2本
☆第二組立工場を見学
車両実験部
開発中の車の走行実験
100種類の実験路が敷地にある
大きなテストコースは2本、高速周回路と検査用テストコース
高速周回路について
1周6.5Km、直線250Km/h、カーブ190Km/h で走行可能
バンク角度は45度
工場の外周に設置されているので、工場へ行くには必ずトンネルをくぐる
5車線あり、速い車が外側を走る
高速周回路の使用は実験車のみ、量産車は走らない
操縦安定性、乗り心地の目標値クリア後に生産となる
検査用テストコースについて
1周1.6Km、120Km/hまで出せる、生産した車は全て実走行により検査
従業員数 6104名
女性は190名、生産ラインは190名中の50名、残りは事務
従来は夜勤があったため女性の比率が少なかった、今後増やしていく
全員が正社員100%
派遣が存在しないのは現在は「車が売れてない」から
フーガを出した時は派遣社員が1000名いた
車は発売して半年間ピーク生産が続き、その後安定化する
安定化した時の必要な数を正社員の数とする
忙しくなると、残業→休出→派遣という順番で対応する
栃木工場平均年齢43.8才 平均勤続年数24.2年
日産全体平均年齢40.2才 平均勤続年数19年
日産自動車平均より栃木工場は年齢高め
☆内製化率30% 70%は外部部品メーカー依存
30%の内訳は、エンジン、シャシー、アクスル(車軸)等、
コアテクノロジーとなる部分のみ日産社内開発・生産
内装は部品メーカーの比率が高い
生産数
アクスル関係 月23000セット
デフ関連 月17万台
第一組立ライン完成車生産能力 月12000台
プレジデント、シーマ、スカイラインクーペ、セダン、ステージア
☆5種類の車が同一ラインで組み立てられる
第二組立ライン完成車生産能力 月11000台
フーガ、フェアレディZ、Zロードスター、マキシマ(輸出専用)
☆4種類の車が同一ラインで組み立てられる
☆今回の見学は第二組立ライン
ほとんどが輸出専用(北米、カナダ)
フーガは70%、フェアレディZは85%が輸出用
■工場の活動
NPW 日産生産方式 NISSAN PRODUCTION WAY
特徴は同期生産
品質・コスト・時間の同期化
受注から納車まで、各部門のリードタイムを極限まで短縮する取り組み
顕在化された課題を改革するという取り組みが日産生産方式の基本
■工場見学(第二組立工場)
日産生産方式の特徴であるモジュール生産方式
部品メーカー(例えばカルソニックカンセイ)で組み立てしたモジュールを納入、
日産で組み立てる
ここでは、フーガのダッシュボードやメーター類、エアコン等が一体化したコックピットの
モジュールを紹介
ラインは2分50秒/1台で流れる
車のライン間隔は6m
最初に投入後、6時間後に完成
最初の説明通り、フェアレディZに関しては、国内向け(Z33)より、海外輸出向け(350Z)の方が多く流れていた
流れている車体には、大きな傷防止用のカバーが所々に被っている
☆組立工場は全て手作業
クルマの組み立ては複雑でロボット化は難しい
ロボットでの組み立てできなくはないが、採算が取れない
☆自動化が一番進んでいるのは車体工場(見学に含まれず)
83%がロボット化
ほとんど人がいない
作業内容は溶接・プレス・塗装作業
栃木工場には約1000台のロボットが導入されている
単純作業、危険作業をロボット化
エンジン及びリアアクスルの取り付け
2台1組になった台車がそれぞれエンジン及びリアアクスルを載せて下側からレール(ライントレース?)に乗って回ってくる(車種毎に違う)
一方、別ルートにてロープウェイ状に吊られた状態で回ってきたボディと途中から上下が重なる
作業者2名が下に入り、エンジンの取り付け及びリアアクスルの取り付けを行う
各製造治具を乗せた1畳程度の大きさの台車(日産ではこれを宝船と呼ぶ)がラインに一緒に流れている
製造している車と一緒に移動し、効率的
QL(Quality Leader)による取り付け部品の確認
音声とPC画面で確認内容が発声・表示され、それに従って検査
全て生産は受注生産、1台毎に車種は違う
各車両のフロントウインドゥには完成予想時間が記されている、
それにより先行しているか遅れているかがわかる仕組み
重要保安部品(サス等足回り部品)は資格所有者のみが作業可能
ホイールの締め付けは締め付けトルク等の記録が全て残る
シートは部品が流れる順番で納品される
フェアレディZロードスターの幌の取り付けは、車体完成後にオフライン(別な場所)で取り付け
取り付け作業は手作業、技術が必要らしい
完成検査項目は370項目
検査の一例
シャワーテスト
10分間水をかけて防水性を検査する
フリーローラーテスト
作業者が車に乗って通路を通り、フリーローラーの上に車を載せる
車の頭上からは各検査用のリモコンがぶらさがり、運転席の窓からリモコンを操作して車の各機能を検査
シャシー台状の検査装置(無負荷)に乗せて、車を走らせながらエンジン等の検査をする
フリーローラーなのでタイヤは回っても車は移動しない
ローラーは指で回せるほど軽い(お客様のタイヤを磨耗させることはしない)
正面のモニターに速度や車の各方向から撮影した映像が運転席から見える
車の後方には排気ガス吸入ダクトが競り上がって来る、まるで空母から発艦時の戦闘機のよう
速度は時速120Km/hまで出す、見ていると騒音が凄い
人による走行官能検査も実施
全車両1.6Kmの量産車検査コースを2周、速度は120Km/hまで出して検査
きしみ、はたき音等のチェックを行う
所有している物の中でも特に自動車は自分の命を預けている訳で、その命を預けている自動車の生産の様子を直接見ることができたのが有意義でした。特に足回り等の事故につながる部品(重要保安部品)は間違いが発生しない様に生産され、更に何度も検査されているのを見ると、安心感が増した気がします。
残念だったのは、見学中の質疑応答があまり出来ないこと。基本的にレシーバーで一方的な解説を聞くだけの見学なので、疑問があってもすぐに質問できません。騒音が凄いので確かに工場内での質疑は難しいのかもしれません。それでも解説の方がいる最前列まで進み、一応いくつかのか質問をしたところ丁寧に回答してくれました。レシーバー側にもマイクと呼び出しボタンがあって、質問があれば呼び出しボタンを押し、レシーバー側のマイク経由で質問が出来るシステムとかって実現は難しくなさそうなんですけどねぇ。工場見学はあくまでもサービスの一環なので、そこまでの投資は難しいのかもしれませんが…。
一応質疑応答の時間は見学の最後に再びホールに戻ってから用意されています。しかし、工場内で見たその時に聞けないと、結構忘れてしまうということも多いんですよね。
また、見学時間も少々物足りなかった印象があります。今回は組立工程だけでしたが、せっかく隣接する建屋に車体工場もあるので、ロボットで溶接やプレスをしている様子も見たかったです。
ともかく、自分の愛車であるZ33が生産される様子を直接見ることができたのもオーナーとしては非常に嬉しく思いました。
日産自動車に感謝です。
土産
工場見学の終わりに、土産としてZ33を4台もくれました。ミニカーですが…。なかなか太っ腹ですね。

ミニカーは日産オリジナルの非売品のようです。もったいなくて、まだ未開封。

フロントバンパーを良く見ると、サイドリフレクターの角度やフロントダクトのスリット形状からマイナーチェンジ前のモデルと思われます。しかし、ホイールは何故か現行モデルの5本スポーク。ということは35周年記念モデル?と思いきや、プレミアムミスティックマルーンの色があることから、やはり現行モデル???
ディテールは結構きちんと作りこまれています。特にサイドのZロゴの印刷は非常に綺麗に印刷されてました。4台の中で、私のZ33と同じバーニングレッドがあれば最高でしたね。販売台数の多い順番で色を選択したのでしょうか…。
その他にも工場案内のパンフ、日産の自動車(ミニバン、コンパクト系)が印刷されたファイルももらいました。また、工場見学終了後、丁度喉が渇いた頃に冷えた紙パックのお茶やジュースが出ました。なかなか良いタイミングでした。